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Romance夢紀行

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Archangel's Shadows/ナリーニ・シン あらすじ


Archangel's Shadows【電子書籍】[ Nalini Singh ]
※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、
内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

大天使リージャンとの戦の終盤で突然現れたリージョンたち。彼らは、タワーの復興に力を貸してくれているようですが、周囲との会話や仕草を学びながら行動している感じで個の印象が薄く、羽は蝙蝠のような無毛で顔かたちや体形はラファエルそっくりで、やや不気味な雰囲気です。またラファエルとエレナを守ろうとする姿勢を鮮明にしていて、常時誰かが外出時のエレナを護衛しています。

エレナは一生懸命彼らになじもうとしていて、ある時思いつきでリージョンの隊長とボディガードのひとりを自分の温室に誘います。ポットへの種植えを頼むと、驚くほど熱心に取り組んでくれるので、彼らには温室への出入りを自由にし、彼らの住まいの倉庫に菜園を作ってもらって、造園と園芸は先日の戦の負傷者のリハビリと心のケアにもよいのではないかとエレナがラファエルに提案して、彼女を中心にその計画を進めることになります。

ジャンピエールは南部なまりがセクシー200歳ほどのヴァンパイア。ネハの領土でヴァンパイア化したらしいジャンピエールですが、最近はラファエルに忠誠を誓っているようです。ギルドハンターのアシュウィニが彼を捕獲するようにという命令を受け、その後その命令が天使から撤回され悔しい思いをした出来事以来、ジャンピーエールが戯れ、挑発し、アシュウィニが受け流し、追いかけるという追いかけっこを続けています。

本心を見せると逃げられると感じて、ジャンピエールはあくまでも軽いそぶりをみせていますが、一目で恋に落ちたアシュウィニにぞっこんで、アッシュとは永遠に一緒にいられるよう、ヴァンパイア化してほしいと心から願っています。アシュウィニも、強く惹かれているジャンピエールに身を任せたいと感じる気持ちは強く感じているのですが、心の奥底にある過去の事件にまつわる秘密がその気持ちを抑えているようです。また絶対にヴァンパイアにはなりたくないと感じているようです。

リージャンとの戦で、ナージルとジャンピエール、アッシュの3人組は敵陣深く潜入し、様々な攻めで敵を翻弄しましたが、その途中でアッシュは敵のヴァンパイアに深く切り付けられ、大量の血液を失ってしまいます。ジャンピエールにきわどいところで救出されるものの、その後自宅で療養生活を送っていて、ハンターとしての本格復帰は数週間と言われています。

病院への入院を拒否したアッシュを自宅でかいがいしく世話したのはジャンピエールでした。それでも少し回復すると部屋から彼を追い出したようですがアッシュがギルドのサラから虐待された犬の死骸が発見されたので状況を確認してきてほしいと言われ、しぶしぶ出かけようとするとジャンピエールが現れます。彼をこれ以上好きになりたくないアッシュは同行を断りますが、押し切られ、ジャンピエールのバイクにタンデムして現地に向かいます。

途中イリウムが現れ、ヴァンパイアに虐待されている人間がいるらしいという状況を調査してほしいとタワーからの依頼を伝えます。一緒に2件をあたることにして、噂のヴァンパイアの邸宅に行ってみると、そのヴァンパイアはジャンピエールの知り合いでした。どうやら彼と同居して血液を提供して一種の家族のように扱われている女性が、問題の人物のようで、確かに顔などに打撲の跡があります。他にも同居している複数の若い女性のドナーたちから話を聞くと、他の若い女性たちに対して嫉妬にかられた問題の人物が自分自身を傷つけて騒ぎ立てたというのが真相のようですが、巧妙に自分を悪く見せないようにしていること、また女性をそういう精神状態まで追いつめて自分を諦めさせ家から追い出して新しい女性をまた迎え入れようとするのだろうそのヴァンパイアの姿勢が二人は気に入らないものの、表立ってはとがめだてできない状況のため、その場は引き上げることにします。その場に怪我人の治療に呼ばれたらしい外科医のアッシュの兄が居合わせ、アッシュと気まずい再会をしていました。

最初は兄だと知らずやきもちを焼くジャンピエール。兄だとわかってからは、二人の微妙な雰囲気と、悲しげなアッシュの瞳に事情があることを感じ取りますが、口を閉ざすアッシュにいらだちを隠せません。

さらにイタリア料理店の厨房の裏にあるごみ箱で惨殺遺体が発見されたと連絡があり、二人で急行します。ボロボロにされ、明らかな虐待の後が見られる遺体は発見者の店主と、その息子によって移動されていましたが、発見時の様子は息子が携帯電話で撮影して残されていました。アシュウィニは相手の心を読むという特別な能力を使って、発見者のレストランの店主と息子の心のなかをみて、彼らは遺体の情報を
他の誰にもメールをしたりSNSで拡散したりしていないことを調べます。

ジャンピエールは、相手の心を読むことでアッシュが苦しむことを知っているため、よく知らない人物の心をその場で読むという判断を下したアッシュに内心激怒していますが、アシュウィニは善良な人の心を読んだくらいでは自分は壊れない、むしろハンターという職業柄、悪に触れることが多く善良さというものが本当に存在するということが感じられるような今回の人々との出会いは救いだと考えているようです。

モルグでの検視に立ち会うアシュウィニとジャンピエール。遺体はひどく虐待された上に、全身は噛まれたあとがあり、なぜか骨が触れば折れ、髪は紙のようになってしまっています。アッシュは絶対に犯人に報いを受けさせてやるからねと被害者に静かに誓っていました。

タワーにやってきたナージル。幼いころにラファエルに引き取られ、ドミトリが養育を担当していたようで、彼が小さいころはあちこちでかくれんぼをするのが得意で、そのうちそれが大人の目を盗んで潜入する遊びになっていき、普段はドミトリがラファエルに事情を話して見逃されていたようですが一番彼がドミトリに怒られたのはリージャンの部屋に彼が忍び込んだ時だったようです。リージャンは子供だからといって手加減するような相手ではないからと、自分を大切にしろと忠告され、ドミトリに自分は人なんだと、心配されると思わなかったと反省していました。その後、彼はさらにその能力が磨かれ、敵地への潜入に特別な才能を見せるようになったようです。

ナージルとセブンの他のメンバーとの関係は、ドミトリは自分の父親のように感じているようで、他にジェイソンとガレンには強い捕食者として敬意を抱いているようですが、残りのイリウム、アオドハン、ヴェノムはどちらかというと自分の弟くらいに感じているようです。

彼は不思議とアッシュのことを気に入っているようで、タワーに戻ってきたジャンピエールに、どうしてアッシュは一緒じゃないんだ、俺たちのハンターなのにどうしてここに住まわせないんだと文句を言っていましたが、ジャンピエールが「あの特別な能力を持っているのに不死者のそばにいたいと思うか?」と逆に聞き返されて、長く考えた後に納得していました。

ラファエルの大邸宅で夫婦主催の夕食会が催されることになり、ナージルとアッシュ、ジャンピエールが招待されたようです。ナージルが夕食への招待へのお礼としてちょっとしたプレゼントをエレナに用意したと周囲に漏らしたので、プレゼントが何なのか、そしてナージルに用意された食事をみたときのエレナのびっくり顔を期待して、イリウムやアオドハン、ドミトリ夫妻も押しかけてきます。

チェスをしたり、気軽な会話を交わしたりと気の置けない仲間の集まる夕食会となりましたが、ナージルの持ってきたプレゼントは、肉食植物でした。指を枝の周囲で揺らめかすと、喰いついてくるので、エレナはびっくり! ナージルはこのプレゼントをNYで探すのにずいぶん苦労したようです。またあげたあとに世話をしてもらえるか柄にもなく心配していて、エレナは植物を満足させられるほどの餌の虫が邸宅内の温室にいるか不安に思いつつきちんと世話をするからと約束します。

エレナはまだナージルがどういう存在なのかはっきりと理解できず、単なるヴァンパイアではないということだけがわかっています。ラファエルは面白がって教えてくれません。そこで夕食会の場でナージルに直接聞いてみると、7つの質問に答えよう、すべて真実とは限らないけれどと言われます。まず貴方はひとりきりの種族なの?という答えにはイエス。生まれながらの存在なのか、作られた存在なのかという質問にはどちらもという答え。虎の一族なの? いいや。あなたはヴァンパイアなの? いいや。あなたは本当に人を食べるの? すごく嫌いなヤツはな。それと腹が減っている時。鉤爪はある? 広げて見せてくれた長い指が一瞬虎の手のような幻影が揺らめいてみえました。姿を変化させられる?というのがエレナからの最後の質問で、それにはもちろん、と答えて姿勢を変えてみせます。

ナージルとすっかり友達になったようだなと、からかいめいた雰囲気のラファエルからの心話にエレナは内心カっとしつつ、ナージルの反応に集中しようとします。ナージルは上の空で猫のような熱心さでエレナの髪に指を絡ませ戯れています。

アッシュは戦いの間にナージルとしっかりと友情という絆を築いているようで、彼にはこうするのよとエレナに言って、ナージルの首の後ろを無造作に手でなでると、ナージルはごろごろと喉を鳴らしてみせます。エレナはおそるおそるその仕草を真似て手を撫でてみますが、とりあえず気に入られているのか、攻撃されたりはしませんでした。これから生きる永遠を使っても、ナージルの謎が解けるのか心もとないとエレナは感じているようです。

夕食会のあと、アッシュとジャンピエールは町のヴァンパイアクラブに事件の調査のため出掛けます。

一番グレードの高いと言われるヴァンパイアクラブに入店した二人。地上階はありふれたクラブと同じような雰囲気ですが、違う階に進むと、ガラス張りになった柱のなかで裸のヴァンパイアたちと人間が絡み合っていたり、血を吸ったりしています。アッシュは遺体の足首にあった虹色のいるかの模様を手掛かりに、この被害者を知っている人物がいないか探しています。化粧室に入ると親切なドナーに出会います。ヴァンパイアのフリンなら顔が広いから探している人が見つかるかもと紹介してくれます。フリンはここではなく、少しグレードの低いヒンジというヴァンパイアクラブでかなり前にそのタトゥの女性を見かけたかもしれないと教えてくれます。

教えてもらったヒンジというヴァンパイアクラブのバーテンダーはジャンピエールとは仲のよい知り合いのようです。彼に気さくに挨拶して、その入れ墨の子が頻繁に来ていたことは覚えている、詳しいことは知らないけどと教えてくれます。彼女のことを知っている人物を探してクラブに入ります。入り浸っているドナーはあの4人だと教えてもらい、彼らはジャンピエールのほうを物欲しげにみているため、アッシュはわざと喧嘩したようにみせかけその場を離れ、ジャンピエールが彼らから情報を聞き出すことにします。

アッシュはふと触れてしまったヴァンパイアからすさまじい悲惨な記憶が読み取れてしまい、ショックでよろめきますが、ジャンピエールが身体をささえアッシュを受け止めてくれ、気分を落ち着かせることができました。

アッシュがその場を離れると、早速ドナーたちが近づいてきて、へりくだりつつ媚びてきます。ジャンピエールは弱い存在には心は動かなかったものの、「なんでもあなたの言うとおりにするわ」と言い、ヴァンパイアという存在の恐ろしさを知らずにいる彼らに無防備さと危うさを感じ、被害者の女性の名前を彼らから聞き出したあとには、彼らの一人の首をしめ、ヴァンパイアは一瞬で4人を殺せるんだぞと、気をつけろと警告します。そこにアッシュがやってきて「ここから失せて」と厳しく言い渡し、彼らは即座に命令に従います。

今日はもう十分ということでクラブを引き上げ、タワーやギルドのバックアップに被害者の名前を連絡すると、ジャンピエールはアッシュを誘惑します。アッシュは、私との仲に深入りすれば、あなたは絶対に後悔する、だから私たちは別れたほうがいいのと、自分の秘密を話さずに彼を説得しようとしますが、彼は君との仲について後悔することは絶対にないと断言します。

ランサムがプロポーズに成功したとジャンピエールにメールで連絡してきていました!

ジャンビエールへの気持ちが止められないアッシュは、なぜ彼との関係に深入りできないのか彼にも知ってもらう必要があると、辛い気持ちでとある施設へと彼を案内します。そこはアッシュの兄が彼女が16歳のとき、人に触れると気持ちが読めてしまうというのが脳の疾患だと考え入院させた上流階級のための特別な精神病院でした。彼女はいまでも近くにくると怯えそうになる自分を叱咤しないといけないほど嫌な思い出のある場所ですが、彼女をみた警備員や看護婦は気軽に声をかけてきます。

アッシュは強制入院によって気が狂いそうな羽目になりましたが、どうにか自分は異常ではないと周りを思わせることに成功し、退院することができましたが、ここには自分の姉でもあり、兄アルヴァンとは双子の関係のタヌーが事故以降ずっと入院しているのでした。

アッシュたちふたりが訪ねていったときは、偶然状態がよく、普通のやりとりを交わすことができましたが、どうやら彼女は薬を飲んでいないと自殺を試みたり、気持ちがそこではなくどこかへいってしまって居合わせた人たちを認識しないような、精神疾患を患っているようです。兄は双子のためにしょっちゅう病院につめていますが、彼女はわかったりわからなかったり。アッシュ自身には監獄のようだったこの病院ですが、看護は24時間で手厚く、姉にとっては良い場所だと納得しているようです。

アッシュのために、アルヴィに対して強く憤りを感じるジャンヴビエールですが、一方で以前よりアルヴィのこと、そして彼や家族とアッシュとの関係を理解できるとも感じた訪問でした。 


「アッシュのお姉さんとお母さんの精神がおかしくなってしまったと言っても、割合から考えてアッシュが必ずしも同じようになるというにはサンプルが少なすぎるんじゃないか」とジャンビエールが言いますが、アッシュは調べてみたら祖母は50年精神病棟に入院して亡くなっていて、曾祖母の友達だったという人に話を聞いたらやはり精神病だったと。そのお母さんも。そして姉がおかしくなってしまった28歳にあと半年という自分もいま、頭の隅に忍び寄ってくる闇を感じている、と。

つまり自分がどれだけ正気でいられるのかわからないから自分と関係を深められないとアッシュが思っていたのだとジャンビエールは理解します。そして正気でいられないヴァンパイアが永遠を生きなければならないとしたら・・・。

ただし、彼女が秘密を抱えていた間ずっと二人でいられたかもしれない時間が無駄になったことは勿体なかったと感じ、200年生きてきて、初めてこの出会いのために生まれてきたとかんじている彼は彼女と過ごす日々を諦めるつもりはありません。

ジャンビエールはこれからはお互いに秘密はなし、謝罪もなしと約束を求めます。アッシュは、今日を生きて、正気でいられるかわからない明日に不安を抱かず、自分をいたわり過ぎないで欲しいと言い、自分の愛する人を守りたいという強い本能を持つジャンビエールには何よりも辛いことでしたが、そのことを誓います。それはアッシュが危険なハンターの仕事に生きがいを感じて日々励み、ある日出かけて戻ってこない日がくるということ。そして周囲の人には生き生きとしたアッシュの思い出だけが残ることになるだろうということです。そうなればジャンビエールはもう生きていられない、たぶん生き残ったとしても抜け殻だろうから。自分は間違った愛によってヴァンパイア化したけれど、愛によって終わるだろうと思っています。

精神的にダメージを受けた状態のアッシュに付け込むにはジャンビエールは紳士すぎましたが、アッシュが自分の部屋まで送ってくれた彼を誘い、初めて二人の関係を深めます。

アッシュは夢の中で、ヴァンパイアクラブで偶然触れ合ってしまったヴァンパイアのカリルが10代の女性の首をしめて乱暴する様子をみて、飛び起きます。すぐにクラブの責任者のアデーレにジャンビエールが連絡をとりますが、実際の出来事だったようで、女性はなんとか息はあったということでした。バイユー出身でジャンピエールの知り合いの若い女の子が以前、カリルにもてあそばれ、虐待されて水死してしまったこともあって、ジャンビエールは今回の出来事に激怒しているようです。

ジャンピエールはヴァンパイアクラブに急行しますが、アシュウィニはランサムのつてで、フェリシティの知り合いと思われる4人の女性と会い、彼女の過去と失踪のいきさつやタイミングをあたることにします。その女性たちは道で立っている職業のようでしたが、フェリシティの仇を打ってほしいとアシュウィニに協力的で、フェリシティは上昇志向があっていまの生活から抜け出したいと思っていたこと、彼女には秘密の恋人がいたこと、その恋人がヨーロッパで暮らそうと誘ってくれたと嬉しそうだったこと、そのあと顔を見なくなったけれど、8か月前くらいに見かけたときにはあまり幸せそうではなかったことを教えてくれました。また恋人と同棲するまえのフェリシティの住まいも教えてくれ、手掛かりを探してアッシュはそちらに向かうことにします。

ヴァンパイアクラブにつくと、オーナーのアデーレは血まみれ、あとを任せてきた部下もかなりの深手を負っていました。ジャンビエールと昨日楽しく会話したルパートがブラッドラストに陥り、愛おしそうに語り合っていた人間の恋人を惨殺してしまい、尋常ではないパワーで暴れたそうです。たまたまカリルを警戒していた制御室で事態を発見したので、非常ボタンを押して各部屋をロックアウトしてあるとアデーレが話します。自分の部屋へ立ち寄り持ってきた双剣を鞘から引き抜き、合流したナージルと共にクラブのガラス天井から潜入し、ナージルがルパートに飛びかかっていったところでジャンビエールが首を切り落とします。

ルパートが恋人を殺したという部屋には、問題のアンバーという麻薬の袋が落ちていて、この麻薬問題がタワーにとって差し迫った問題になってきたようです。ソファにがっくりと腰を落としたジャンビエールに追いついてきたアッシュが寄り添い無言で抱きしめ、慰めていました。

二人はフェリシティの部屋のあるクイーンズでも柄の悪い地域を訪ねます。大学院生だという管理人が対応してくれ、フェリシティを最後に見たのは7か月前だったこと、その時は顔色が悪く影も薄かったこと、自分は彼女から可愛がっていた猫の世話を頼まれていたこと、可愛い猫を諦める価値なんてそいつにはないと彼女に伝えたことを話してくれます。フェリシティが亡くなったと聞いて強いショックを受けた様子、またフェリシティの部屋は大家に処分されたようですが彼女の大切なものはこっそり彼が事前に救い出して大切に箱に保管してくれていたことなどからアッシュは彼が彼女のことを愛していたんだと悟ります。彼女の遺体を発見したイタリア料理店のオーナーや、4人の友達たちがお葬式を予定しているとアッシュが教えてあげると、連絡すると言っていました。

残されていた箱にあった写真などに残された指紋やDNAから、遺体がフェリシティ・ジョンソンだということが確定されました。帰り道にジャンピエールはある木のところにアッシュを連れていきます。そこには微笑んだ顔を頬づえをついた妖精たちの像がいくつか置かれていて、これがあるって知っていたの、あまりにも素敵だから置きっぱなしにしていたら誰かに持ち帰られてしまうんじゃない?と話すと、これはアオドハンが作って3晩前にイリウムと置きに来たもので、その妖精たちは連れていかれた場所で微笑んでいたらいいと彼が言っていたと教えてくれます。アッシュは悪いヤツに目を付けられる前にはいつも微笑んでいただろうフェリシティのためにひとつもらっていくことにします。

アッシュとジャンビエールが箱のなかの物をひとつづつ確認していきますが、彼女を大切に思っていただろう女友達4人との写真や管理人との写真、おそらく両親だろう家族の写真などが残されていて、自分の大切な存在の証拠を彼との同棲の家に持ち込まなかったのは彼女自身が恥ずかしさやきまり悪さを感じていたのではとアッシュは感じ取ります。犯人は支払いは現金でするなど注意深く行動していましたが、クレジットカードの履歴を確認すると、彼女が犯人に時計をプレゼントしていたことがわかります。ひょっとしてこれが手掛かりになるかもしれません。

タワーでは、ナージルとエレナが手合わせをしていてドミトリとラファエルが少し離れた場所で観戦しています。先日の夕食会のときにナージルがかなり多くの真実を語っていたことに二人は驚いているようです。エレナはまだ完全に不死になったわけではないから、そのことをナージルに言ったほうがよくないかとドミトリがラファエルに言いますが、ナージルがうっすらと笑いながら手合わせしているのをみて、致命的な一撃の前には警告するだろうしエレナの先読みしにくい手は彼を心底楽しませている様子だから心配ないだろうと静観しています。

招集した地域のヴァンパイアリーダーのうち、二人が公共の場で荒々しく人間の血を搾取するなど目に余る行動を見せているとドミトリが話すとラファエルは会合のあとでじっくり彼と話すことになるだろうと伝え、どうやら彼ら二人は見せしめも含め罰を受けることになりそうです。ラファエルは意味もなく部下を虐待をしたりするようなことはしませんが、領土の規律を守るということに関してはとことん厳しい姿勢を貫いているようです。

ナージルはタワーを気に入っているようですが、セブンのなかで長く同僚や家族と離れてアマナットに滞在できるほど自立しているのはナジールしかおらず、おそらく本人は喜ばないだろうが必要性を理解して引き続き現地に赴任してくれるだろうとラファエルは考えています。

キャリエーンは自分の領土内の女性にナージルが手をつけて危険な目にあわせるのではないかと心配していたようですが、ラファエルはその心配を一蹴したようです。純真でかわいい女性とナージルは戯れることはあっても伴侶に選ぶ女性は彼を血まみれにできる鉤爪をもった彼と同じくらい野性的で獰猛な女性だろうと。ドミトリも強く同意します。ナージルの忠誠心はドミトリ同様筋金入りとはいえ、エレナと戯れているナージルを放っておいてよいのですか?というと、エレナもかぎ爪をもった女性だから無理もない、とラファエルが言いつつドアをあけるとエレナが投げた短剣がラファエル向かって飛んできました。

フェリシティの残したものから犯人の痕跡をたどる手法は、空振りに終わりましたが、次の犠牲者が現れたと連絡があり、二人は病院に向かいます。その女性はフェリシティと同じように全身を痛めつけられ、精気を抜かれたようでしたが、まだ息があり、なんとか話せる状態になったところでアッシュが話を聞くことができました。痛めつけられた場所はピーナッツの匂いがしたということから、ギルドも、タワーでも情報をしぼり、長寿のヴァンパイアが所有する建物や倉庫でクォーターなど特定の地域にあるものという条件で搾っていくと、ヴァンパイアのジョルジオの持つ倉庫ともうひとつが浮かんできました。アッシュたちはジョルジオの倉庫に、ナージルはもうひとつの箇所に向かいます。

目的の倉庫は警備のために雇われたらしい数人の男がいましたが、アッシュたちは踏み込みます。最初はそこには何もないように思えましたが、合流してきたナージルが匂いでかぎつけ、スレートの下に隠された何人もの犠牲者の女性を発見しました。そこには以前ジョルジオの邸宅で会った女性もいました。

またさらに調査を続けると、倉庫の別の側では、天使の赤い羽根が見つかります。赤い羽根というのは珍しく、リージャンの将軍イクシィか、コーネリウスではないかと推測されます。またそこでは問題の薬物アンバーが作られていた形跡もありました。しかしジョルジオともう一人の天使の姿はなく、ギルドもタワーも全力で捜索することになります。

倉庫で見つかった女性は、ひどく痛めつけられ、10歳以上肉体的に老化させられていたものの、気力は残っていて、ジョルジオたちが潜んでいる場所を知らないかアッシュが尋ねると、疑似家族の一人が叔母の遺産で屋敷を相続していて、叔母の意向で彼女自身が屋敷の所有者を移したり売ったりできないようになっていてそこかもしれないと。名義がジョルジオのものではないため、調査の範囲から外れていたことに気付き、すぐに現地に向かいます。

屋敷に着くと、ジャンピエールは上階から、アッシュは正面から向かうことにして、ジャンビエールは3階の1室のクローゼットに閉じ込められていた女性をみつけます。アッシュは以前知り合った身体を売る女性から同僚が2人いなくなったと連絡を受けていて、それがその一人でした。まず彼女を逃がすと、部屋を調べながら下の階へ向かいます。アッシュは屋敷の持ち主でもあった女性に応対してもらいますが、彼女を縛り上げ、屋敷の中に入り込み、ジョルジオと対決します。高齢のわりに彼は戦闘には優れておらず、アッシュに続けざまに切り裂かれ、止めに床にナイフで手や腕など数か所とめつけられ、捕獲されました。さらに天使の姿を探して2階にあがりジャンビエールと共に寝室と思しき場所に踏み込みますが、反撃を予想しているとそこで待っていたのは骨と皮になったコーネリウスと血だらけになったもう一人の被害者の女性でした。

ラファエルは彼らに下す罰は、被害者の希望を叶えると言いますが、アッシュはひそかに犠牲者にあって飢えているコーネリウスとジョルジオを一緒の牢に閉じ込めたらどうかと提案していたようです。コーネリウスとジョルジオはどうやらリージャンの宮廷で知り合いだったようで、弱ったコーネリウスがジョルジオに頼り麻薬の製造と女性の虐待という犯罪の動機は、ジョルジオの長年の倦怠だったようです。いずれにしても、死ぬまでラファエルによって地下牢に閉じ込められることになりそうです。

突然ラファエルの母キャリエーンが本宅に現れました。どうやら寂しくなり、ラファエルに会いに来たようです。突然のことでエレナは大慌てですが、執事のモンゴメリの采配のもとエレナも用意した部屋にお風呂を用意して、花で飾ってほしい、また着替えも用意したほうがよいかもなど接待に心を砕きます。義母キャリエーンとの仲は相変わらず難しいものですが、部屋をみたキャリエーンは、息子が心を感じさせる屋敷で暮らしてくれていて嬉しいとエレナに伝えます。ラファエルもキャリエーンが難しい人物にもかかわらず、エレナが心を砕いて接待してくれることに心から感謝を見せていました。

事件が解決し、しばらく休むようにとアッシュとジャンビエールは言われ、ジャンビエールのタワーの部屋に向かいますが、兄のアルヴィからタヌーの意識がはっきりしていてお前に会いたいと言っていると嬉しそうな声で連絡がはいり、バンリハウスに駆けつけます。庭には毛布でしっかり身体をくるまれて楽しそうなタヌーと、事故以来見せることのなかったくつろいで楽しそうなアルヴィが待っていました。

あらためて正式にジャンヴィエールを家族に紹介し、夜明け近くまで話が尽きることなく、楽しい時間を過ごします。抱きしめあって、タヌーもアルヴィもアッシュに心のこもった挨拶を送り、アッシュとジャンビエールはその場を辞去しますが、しばらくすると無言だったアッシュが悲しみ始めます。

おそらく今のは彼らの別れの挨拶だったと。世間からみてアルヴィは才能に満ちた神経外科医で、何人もの患者さんを生かすことで充実した生活を送れているようにも見えましたが、アルヴィは事故で心を亡くしてしまったも同然の日々で、双子のうちイニシアチブをとっているのはアルヴィだと他人は思っていたけれど、実際には彼らの立場は対等で、事故後4年たって初めてタヌーがしっかりと正気に戻ることができ、狂気を抱えてこれ以上生きたくないという彼女の意思をアルヴィは確認できたので、もともとひとつだった二人はその決意したのだろうとアッシュは感じています。

アッシュはジャンヴィエールに、もしも自分が死んでも、私はオナーのように必ず転生してあなたのもとに戻ってくるから、あなたには生きてほしい、あなたにはその強さがある。約束してと改めて頼みますが、ジャンヴィエールは答えません。

またアルヴィは母の検視の結果を残してくれ、タヌーの解剖の結果をあわせてみてくれた脳外科の医師はふたりとも脳のとても深い部分に腫瘍があり、手術できる場所ではなかったとアッシュに教えてくれます。その医師はアッシュの女系の家族の特有の疾患とは気づかず教えてくれたのですが、ジャンヴィエールは強いショックをうけ、その彼を慰めたのはアッシュ本人でした。

エレナが予定していた舞踏会ならぬ街の復活祝パーティに3名の護衛を伴ったティタスが現れました。とにかく豪快な人物で、ラファエルを仔犬にたとえ、大きな声で笑い、エレナの腕をバンバンたたいて、何年たっても自分はお前の若年期を知ってるぞと言えるなと言い放ちます。彼がドミトリの案内で部屋にひきとってから、エレナは彼は強力すぎるけど、ハンターみたいだと厚意を感じたようです。

お祝いのパーティが町中で繰り広げられ、ティタスは沢山の女性に取り囲まれ、セブンなどタワーの面々もダンスをしたり、パーティをエンジョイしている様子で、今後天使の舞踏会はエレナに企画を頼もう!という意見も出ていました。天使たちが空から落下した事件で大怪我を負い、首から下を再生しているイザクにエレナはパーティのケーキとイリウム特製のお酒を差し入れていました。ケーキを食べさせてあげるエレナにこれじゃ立場があべこべですとイザクは抗議しますが、怪我をしている今は私がやりたいようにやるのというとイザクはますますエレナのことが好きになってしまったようです。

アルヴィが遺してくれたアッシュの母の検視結果、新たなタヌーの検視結果で脳の物理的な問題が症状を引き起こしているとわかったことで、ジャンヴィエールはある可能性を考え、天使であり医師でもあるケルにひそかに相談に行きます。

兄と姉を亡くした悲しみはまだ癒えていないアッシュでしたが、同僚やタワーの面々も彼女を慰め、支えてくれています。パーティの喧騒をはなれひとり静かにしていると、ジャンヴィエールがやってきて、最後まで自分の話を聞いてほしいと、切り出します。

ヴァンパイアに変化するということは、ごくゆっくりとしか年を取らないということで、ブラッドラストのヴァンパイアは精神が崩壊していしまって起こることでアッシュのように物理的な脳の問題が引き起こすものとは種類が違う。もしも腫瘍の進行をヴァンパイアになることでごくゆるやかなものへと変化させることで自分たちはもっと長い時間一緒にいることができるのではないだろうか。アッシュがもういい、という時期がきたら、ラファエルに頼んで天使の炎で二人一緒にこの世から旅立とうと話します。

もちろん、転化がうまくいくとは限らない。また特別な能力に変化が現れたり、ハンターの能力がなくなることがあるかもしれない。リスクは大きいけれど二人で生きられるかもしれない永遠に近い時間に賭けてみないか、と。

アッシュが転化して数か月後。二人は幸せいっぱいです。ヴィヴィクのヴァンパイア化を担当しているアオドハンからグッドニュースがあり、彼の右手が動かせるようになったということでした。肩よりも下を動かせるようになるには数年かかるかもしれないという見立てだったので、驚異的に早いスピードでヴァンパイアの能力が麻痺していた彼の身体を回復させているようです。

アッシュはヴァンパイアになってから100年はラファエルに仕える契約ですが、実質的にはアッシュはエレナがこれから創設する護衛隊に所属しつつ、ギルドの仕事もタワーの仕事もジャンヴィエールと共に当たることになったようです。ジャンヴィエールもラファエルが承認し、エレナの護衛隊へと引き抜かれたようです。護衛隊の具体的な任務はこれからということのようですが、二人ともエレナとラファエルをしっかり支えていくという気持ちをもち、二人の未来を見つめていました。


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